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一人静かに、何にも干渉されず、耽る。言葉なくとも店主の人を想う気配が質感を伴って五感にうったえかけてくる。そんな喫茶店が好きな一方で、この町の風景も同じように好ましく思う自分がいる。人が生まれ、笑い、泣き、誰かが誰かを想っている。たまたまにしてこの町に生まれて、たまたま、ずっといる。“何もない町”にもそれ相応の人が暮らし、その営みが町を彩っている。なににもあらがうことなく、手元にあるものを慈しみ、誠実ほがらかに日々を営む人びとに触れて、今日もいい町だ。と思うのです。お届けに向かうたび、歩くたびに、気取りや背伸びがほどけていく。この町で育った、育ててもらったのだ、と。


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